「ブエノスアイレスのマリア」より No.2
メゾチント
2014年
小悪魔は、この物語のナレーション兼登場人物。初演では作者フェレール自身が朗読をつとめ、非常に多弁で難解な詩人ぶりで我が道を突進しています。
マリアを堕落させたバンドネオンを罵る際に「Diablo/悪魔」という言葉が出てくるので、それとは違う立ち位置にいるもののようです。
duendeを辞書で引くと「小悪魔、小妖精」とありますが、日本語の「小悪魔」というときのイメージは固定しているので、むしろ「ドゥエンデ」と固有名詞的に呼ぶべきなのかも知れません。
「千年前に哀しいもうひとつのラプラタ河が、俺を小悪魔にした」、この世のものならぬ何かが人の姿をしているのか、むしろ人がこの世のものならぬ姿を借りているのか、いずれにしても、もちろん詩人フェレールの自己投影ではあるでしょう。